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第55回さんさんクラブ宮崎作品展示会開催

 第55回となるさんさんクラブ宮崎作品展示会は、12月2日(木)から4日(土)の3日間宮崎県美術館において開催されました。
 年に一度、会員の豊かな知識と優れた技能を活かした日頃の創作活動の成果を一堂に展示し、地域社会及び会員相互の交流を深めるため、コロナ禍の中、3市町を除く23市町村から選りすぐりの秀作が展示されました。
 今年度は、絵画が42点、彫刻が2点、工芸が48点、書が36点、写真が18点、手芸が260点、そしてその他が8点の合計414点の作品が出品され、厳正な審査の結果、宮崎県知事賞等の特別賞が40点選ばれました。
 また、90歳以上の高齢者賞受賞者の作品が39点、無鑑査の作品が6点出品されていました。

令和3年度第55回さんさんクラブ宮崎作品展示会受賞者名簿

【宮崎県知事賞】
日本画 岩村 冨美  82歳 延岡市      工 芸 那須 安賴 79歳 西米良村
書   冨森 辰弘  81歳 国富町      写 真 渡邉 義孝 84歳 綾 町
手 芸 壱岐 喜久子 78歳 宮崎市
【宮崎県議会議長賞】
洋画  澤 節子   73歳 国富町      工 芸 鳥越 一也 83歳 都城市
書   長﨑 美智  82歳 宮崎市      手 芸 岩切 博子 70歳 延岡市
【宮崎県社会福祉協議会会長賞】
洋画  松田 武雄  82歳 門川町      工 芸 玉木 雅  81歳 延岡市
書   松永 セツ  75歳 小林市      手 芸 村田 ミエ 82歳 宮崎市
【宮崎県物産貿易振興センター理事長賞】
書   福留 惣三郎 94歳 小林市      写 真 宮本 哲伸 73歳 高千穂町
手 芸 町田 慶子  82歳 延岡市
【宮崎日日新聞社社長賞】
洋 画 伊藤 昭   83歳 宮崎市      書   細井 徹  73歳 都城市
手 芸 築地 信子  89歳 国富町
【MRT宮崎放送社長賞】
洋 画 早川 忠   76歳 川南町      工 芸 中馬 樹美郎 71歳 都城市
手 芸 大田川 湧子 79歳 日南市
【UMKテレビ宮崎社長賞】
工 芸 瀬口 貢   89歳 門川町      書   中村 久代 75歳 都城市
手 芸 渡辺 俊子  86歳 宮崎市
【宮崎ケーブルテレビ社長賞】
洋 画 久保 ケイ子 82歳 延岡市      工 芸 下原 武助 88歳 えびの市
手 芸 森 律子   67歳 木城町
【宮崎交通社長賞】
書   鬼塚 和美  75歳 延岡市      手 芸 黒木 久美子 83歳 都城市
【宮崎県老人クラブ連合会会長賞】
彫 刻 稲田 利昭  89歳 国富町      工 芸  陳内 文生  78歳 小林市
写 真 阪元 英士  83歳 宮崎市      手 芸  梅本 美佐子 80歳 宮崎市
手 芸 福崎 ミキ子 75歳 日南市      手 芸  鮫島 久仁  76歳 小林市
手 芸 仁田 ナゝ子 82歳 小林市      手 芸  高畑 ツヤ子 83歳 小林市
手 芸 戸越 佐代  80歳 延岡市      手 芸  小谷 新子  72歳 門川町

第55回さんさんクラブ作品展示会 講評

<絵画>

 昨年は、審査を楽しみにしていましたが、コロナ禍で開催されずとても残念でした。いつもこの展覧会で驚かされるのは、80歳を過ぎた方が大作に挑戦して立派に完成させている事で、魂の情熱以外の何ものでも無いと思います。
 宮崎県知事賞の岩浦さんの作品「うらら」は、149×116の大きさに花とニワトリの親子をうまく配置してしっとりとした日本画らしいマチエールでしあげていました。
 宮崎県議会議長賞の沢さんの作品「赤の祭典」は、赤を画面の支配色に持ってきてまとまりのあるインパクトの強い作品で目を引きました。
 宮崎県社会福祉協議会長賞の松田さんの作品「あるじは何処に」は、人が住んでいないだろうと思われる廃屋の物悲しさが玄関の破れでよりいっそう表現されています。
 宮崎日日新聞社長賞の伊藤さんの作品「ヨットだまり(運河」は、遠近感の出し方が秀逸で奥行きの深さとヨットハーバーの匂いや空気が伝わってきます。
 宮崎放送社長賞の早川さんの作品「金剛力士像」は、鉛筆を用いてしっかりと描き込んである背景の空間感がうまく出ています。
 宮崎ケーブルテレビ社長賞の久保さんの作品「カサブランカ」は、難しいモチーフをうまく表現できています。お孫さんからのプレゼントへの嬉しさが作品を作り上げたのだろうと思います。

<彫刻>

 彫刻の作品はどれも素材と技術を駆使して創造的な表現をしていました。単に手数をかけるだけではなく、その工程が表現効果になっており感動がより深まりました。
 県老連会長賞の稲田さんの作品「子持ち地蔵尊」は細やかな彫刻表現と慈愛に満ちた表情に心を打たれました。

<工芸>

 審査会場の第一印象は、多種多様な作品があふれている感じがしました。一点一点丁寧に見ていくと作家それぞれの思いや感性が強く伝わりました。
 コロナ禍で思い通りにならない生活を余儀なくされる今、それぞれの祈り、家族や友人に対する思いがあふれる作品が多く、創造の原点が感じられました。
 県知事賞の那須さんの作品「鹿革の太鼓」は、廃棄される鹿の革を利用された作品で、 細やかな研究を重ねられて一つの作品にされたことを評価しました。捨てられるものに命を与えた太鼓はどんなに人の心に響くか是非聞いてみたい。まだ初心者とのことですが、これからの挑戦が楽しみな作家です。
 県議会議長賞の鳥越さんの作品「富山県日本遺産合掌造り」は、細部にまでこだわった緻密な表現に感嘆しました。見る人に感動を与えるレベルまで具現化する情熱と意欲に心を打たれました。
  
<書>

 前回より出品数こそやや減らしましたが、コロナ禍の中、熱気のこもった作品を多く見ることができました。
 最も感動させられたのは、線質のみずみずしさでした。書にとって「線」は「形」以上に重要な要素の一つであり、長い間の鍛錬によってもたらされるものです。そして、それは体力と気力の充実があってこそのことでありましょうから、敬服させられる次第です。さらなるご健勝とご健筆をお祈り申し上げます。
 県知事賞の富森さんの作品は、整斉な楷書による見事な写経です。点画の確かさ、結体の美しさに圧倒されました。
 県議会議長賞の長崎さんの作品「今日もまた」は、流麗な中に強さを秘めた線、散らしの妙、粗密の変化などが淡墨で美しく表現されています。
 社会福祉協議会会長賞の松永さんの作品「条幅漢字」は、蘭亭序の臨書ですが、柔軟によく伸びる線で原帖の持つ特徴を捉えています。
 物産貿易センター理事長賞の福留さんの作品「条幅漢字」は、実に含蓄の深い線条に惹かれます。
 宮崎日日新聞社長賞の細井さんの作品「仁者の寿」は、三文字と余白とがよく調和し独特の優れた魅力を持っています。
 テレビ宮崎社長賞の中村さんの作品「うのはなも」は、まろやかな線が潤渇の変化と相まって清澄感に富んでいます。
 宮崎交通社長賞の鬼塚さんの作品「千字文」は、一糸乱れぬ楷書で書ききっています。

<写真> 

 コロナ禍の中で撮影は思うように行かないと思います。祭りやイベントもほとんどなく大変だろうと想像します。また、今回は人物が少なく風景が多く見られました。コロナの影響だろうと思います。
 そこでこんな時は、過去に撮ったものをじっくり見直して欲しい。ゆっくりと時間をかけて見ていくと見落としていた良い写真が必ず一枚、二枚はあるものです。この時期に是非やって欲しいと思います。
 なお、今回、組み写真がありましたが、組みの中で同じような写真があり、もう少し的を絞った方が良かったと思いました。
 宮崎県知事賞の渡邉さんの作品「曾我兄弟」は、祭りの若者の姿がズバリ切り取ってあり力強い写真となっています。バックもよく処理されており主題を引き立たせています。若者の目線がカメラを向いており力強さを感じます。ただ、若者皆にピントが合っていればもっと良かったと思います。
物産貿易振興センター理事長賞の坂本さんの作品「渓谷のトロッコ」は、桜が満開で下方にトロッコ、レールに沿った赤い乗り場と色彩的に大変面白い写真です。何かほのぼのとしたものを感じます。
県老連会長賞の阪元さんの作品「おどけた顔で」は、踊る人の表情が面白くうまく捉えられています。

<手芸> 
 
 今年の作品制作は、コロナ禍で大変だったろうと思います。作品数が例年に比べて少なく感じました。その中で、グループ活動での作品が出品され、制作活動に意欲を感じさせるものが多くあると感じました。また、アイデアに溢れた作品も見受けられました。来年度たくさんの作品が出品されることを期待します。

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